施工事例

古民家の趣と風情。現代の家の機能性とデザインが調和した、開放感のある家。

諫早市T様邸

―古民家を作り替えようと思ったきっかけは何ですか?

作り替えはしましたが、実を言うと、それが「古民家再生」だという気持ちはなかったんです。

もともとこの家は、祖父が建てたもので築70年以上になります。家族はずっとここに住んでいて、「古民家」という意識がなかったんですね。家族構成やライフスタイルが変わることで、これまでも増築したりしていて、今回の改装も娘が中学校に上がるタイミングで行いました。それまで私たち夫婦が使っていた部屋を娘に渡して、私たちは移ろう、と。それで、使われていない部屋をリビングや寝室に改装したんです。


―古民家再生工事を嶋﨑建設に決めた理由は何ですか?

一言で言うと信頼関係です。

この家は祖父の代から続くものだと言いましたが、最初の家を建ててくださったのが嶋﨑建設さんのおじい様、増築してくださったのがお父様なんです。今回の改装は現社長、つまり、最初の家から考えてお孫さんが携わってくださったわけですね。親子三代にわたっておつきあいさせていただいているので、やはり安心感があります。そうでなくても、嶋﨑さんとは世代が一緒でとてもフレンドリーな間柄です。同世代30人くらいで家に集まることもあるんですよ(笑)。この距離感が心地よくて、嬉しいですね。


―改装のテーマ(こんな家にしたいというイメージやコンセプト)を教えてください。

昔の家が持っている素朴さや落ち着きのある佇まいが好きなので、その雰囲気は残したいと思っていました。ただ、だからと言って暮らしにくいのも不便なので、「生活しやすい空間」ということも意識しました。

例えば、開放感を出したくて、最初の頃は壁を全部取り外そうとしていたんですね。それこそ、寝室もなくて1フロアでいいんじゃないか、と。ただ、生活することを考えると、「広すぎるのも大変なんじゃないか」、「エアコンなんて効きにくくなるんじゃないの?」という現実的なことも見えてきて、「やっぱり、寝室をつくろう」となったんです。

他にも、昔の家の雰囲気だと、オレンジの照明がいいけれど、勉強や本を読むときなどは白の照明がいいということも考え、照明も分けてつけたりしました。

大切にしたのは、結局のところ、昔の家と現代の家とのバランスの取れたイメージですね。


―改装のこだわりポイントを教えてください。

昔の家の雰囲気を残しつつ、開放感のある空間にしたことです。

今回の改装で改めて感じたことなんですが、昔の家と現代の家はつくりが違うんですね。現代の家は各部屋がきちんと分けてつくられているのに対し、昔の家は空間を障子や襖で間仕切って、それぞれを部屋にしているんです。廊下もなく、部屋が通路がわりにもなっています。ここも同じで、改装する前は部屋数で言えば5部屋あり、さらに階段の踊り場があるといったつくりでした。それぞれが障子や襖で仕切られていて、かなり手狭に感じられていました。そのつくりが「昔の家らしい」、と言えばそうなのかもしれませんが、生活のしやすさを考えるとやはり空間を広く使いたかったんですね。

そこで、襖や障子は全部外して、柱も必要なところだけ残してもらうようにしました。段差があった床も上げてフラットにすることで、広い空間になりました。秘密基地みたいな感覚でつくったロフトもポイントです。「つくりを変えてしまって、それまでの雰囲気が残せるのかな?」と思うこともありましたが、もともとあった階段の手すりをロフトの柵として再利用したり、前は通路だった畳を小上がりにしてもらったりすることで、馴染みやすさはそのままに快適な空間ができたのではないかと思います。


―印象に残っていることを教えてください。

工事のときに天井を抜いたんですが、そこで初めて梁を見て「カッコイイ」と思いました。部屋の開放感を出すために「天井は抜くしかない」と思っていたんですが、「こんなにカッコイイのなら、ぜひ見せたい」と気持ちが変わりましたね。

あと、漆喰で塗った壁も大変満足しています。最初は、クロスにしようかとも考えていたのですが、もともとの壁が土壁で、「クロスにするのであれば、一旦土壁を取らなければいけないから」と、漆喰を塗ることを嶋﨑さんから提案していただいたんです。完成した壁を見て、空間とマッチし、望んでいた雰囲気も出ていて「さすがプロの提案」と思いました。


―完成したお家に住んでみて、気づいたご家族の変化はありましたか?

変化というわけではありませんが、うちの家族はみんなワイワイするのが好きなんだなぁ、と思いました。今はコロナ禍なのでできていませんが、以前は近所の人を呼んで食事会をしていましたし、娘も学校の友人を連れてきていましたね。

あと、娘に対しては感心することもありました。彼女は高校生の時、調理系の部活動に入っていて、そこでお菓子づくりの課題が出されたそうです。それをこの部屋で作業していたんですが、自分で家具を組み合わせて作業台をつくっていたんですね。「与えられた場所で、与えられた課題をこなす」だけではなくて、「自分に合ったことを、自分で考えて行動する」姿を見て、「やっぱり成長しているんだ」と嬉しくなりました。

Data

構造
木造2階建
所在地
長崎県諫早市
設計期間
約2ヶ月
施工期間
約3ヶ月

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